「そんなこと知らなかったからさ。……大変、なんだね」
私はふるふると首を横に振る。
「でも、変だとは思ってたんだ。
ずっと楽しそうにしてたのに、店に着いたとたんに……
なんていうか、こう、顔色が悪くなったって……そんな感じがしたから」
さっきから、圭吾さんは言葉を選ぶように、ゆっくりと話している。
「具合が悪いなら、無理することないって、そう思ってたんだけど……
俺、自分で言うのもどうかと思うけど、口下手っていうか、言葉足らずで……」
……あれ?
「悪気はなかったんだ。
でも思えば、いきなり帰れなんて言われたら、傷つくよな、って……」
これって、なんだか。