気力を振りしぼって、駅前へとやってきた。
帰宅ラッシュ前で、まだ混雑はしていない。
でも敏感になっている私は、時折すれ違うだけの人にも恐怖を感じてしまう。
綾乃は、どこにいるんだろう。
売店、タクシー乗り場、旅行パンフレットの棚の前……
見慣れた姿を探して歩いていると。
「あの……」
背後からの声に、体が縮み上がった。
振り返らなくても分かる。
忘れられない、声。
どうして、ここにいるの?
ゆっくりと振り向くと、そこには圭吾さんがいた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…