それから、少しの時が流れて。




私は今、とても穏やかにすごしている。


みんなと会えないのは少し残念だけど、でも、ここからはみんなのことがよく見えるんだ。




仲良く慎ましやかに暮らすパパとママ。


音楽に突っ走りつつ、勉強もほどほどに頑張ってる綾乃。


金の卵を探して奔走するトワさん。


未来のトップアーティストを目指して邁進するバンドのみんな。




そして、絶えず歌い続けている圭吾さん。




街は今、彼の歌声であふれている。


それは、こんなところにまで届いてしまうほどに。




だから、ちっとも寂しくない。


彼の歌声をめいっぱい愛せる喜びを、私は今、噛み締めている。