「こんな、きれいな星空、見たことない……」


ため息まじりにつぶやくと、耳元に圭吾さんの声が降ってきた。


「ほんと……綺麗だ」


彼のやわらかい髪が、頬を、首筋を、くすぐる。




数え切れないこぼれそうな星達と、かけがえのない彼の温度が、ここにある。




約束、果たせたんだね。


きっとこれは、神様がくれた奇跡。




それを祝福するかのように、圭吾さんが歌い始めた。


初めてのデートで、夕日を眺めながら聴いた、あの思い出の歌。




大好きな彼が、大好きな声で、伝えてくれる。


おおきな、おおきな、愛。


全身で受け止める。




彼が満ちていく。




あふれる気持ちで、にじんでいく星空。


彼にすべてを包まれて、これ以上のしあわせはない。


これ以上は、ないよ。




そして星降るきらめきの中、彼のささやきを溶かしながら目を閉じる。


最初で最後の「あいしてる」は、甘くて少し、ほろ苦かった。