手の平から伝わる、あたたかな思い。
ああ、私は何を恐がっていたのだろう。
パパは、ずっとずっと、そうだった。
声を奪う前と変わらない。
向き合うことで、やっと気づけた。
パパは私を愛してくれていた。
私、愛されていたんだ。
わだかまりが解けて、涙になる。
それを、パパが笑顔でぬぐってくれる。
私はカサカサの頬をつっぱらせて笑う。
必要なのは、「ごめん」じゃなかった。
「……ありがとう……」
たくさん遠回りしたけれど。
やっとパパの娘に戻れた、そんな気がする。
私の頭を優しくなでながら、パパは確かにこう言った。
『大好きだよ、沙妃』