寒さがやわらいだ、ある日。
カーテンからもれる穏やかな陽射しを浴びて、ベッドの上でうつらうつらとしていると、ノックが聞こえた。
もう食事の時間なんだ。
そう思ってドアに目をやると。
「パパ……?」
そこには、無表情のパパが立っていた。
どうしたんだろう。
戸惑う私をよそに、パパはベッドの脇までくると、背を向けてしゃがみこんだ。
目の前に、大きな背中がある。
それをじっと見つめていると、パパは自分の肩をぽんぽん、と叩いた。
まるで、おいで、と言うように。
今日はパパが食事に連れて行ってくれるんだ。
理解すると、不安になった。
もうずっと、パパと二人で向き合うことなんてなかったから。
私はパパを避けて、パパも私と接しようとはしなかった。
それなのに、なぜ今パパはこんなことをするのだろう。
拒むこともできずに、私はパパの肩に手をかけて、おそるおそる身を預けた。
パパは私を気遣うようにゆっくりと立ち上がったけれど、その間も私は不安で仕方なくて、必死にママの姿を探した。