「だって!」
ほとんど息だけになった叫びに、綾乃は口をつぐんだ。
私はベッドの上で丸くなって、ひざに顔をうずめて言った。
「だって、こんな格好、見せたくない……」
ひざも、それを抱える腕も、ほとんど骨と筋の上を皮が覆っているだけの状態。
髪の毛も、もう何日も洗ってないのにパサパサで、好き放題はねている。
恐くて鏡は見ていないけれど、ひどいに決まってる。
もう意地を張る気力も我慢する体力も残ってない。
だから綾乃の言うとおり、少しだけでも会いたかった。
でも、こんな私に会って圭吾さんはどう思う?
こんなのが最後の姿として彼の中に残るなんて、絶対に嫌だ。
「もう、会えないよ……」
結局私は泣いてしまって、それにつられて綾乃も泣いていた。
それ以来、綾乃は毎日のようにお見舞いにはきても、圭吾さんのことは一切口にしなかった。