うらやましいと思うけれど、二人が話題にすることといったら、音楽のことか、そうでなければ……
うぬぼれかもしれないけれど……きっと、私のことくらいだろう。
CDの件も、圭吾さんだけの判断ではなく、綾乃が絡んでいたと考えるほうが納得しやすい。
二人は、どんな顔をして私のことを話していたんだろう。
どんな気持ちで、CDを送ろうと決めたんだろう。
それを思うと、どうしようもなく切なくなった。
「ねえ、CD聴いたんでしょ?どうだった?」
のぞきこんでくる綾乃の澄んだ瞳に、諦めるなんて選択肢は露ほどもない。
やっぱり、私は綾乃がうらやましい。
どんな絶望すらもかすませてしまうほどの希望を持ってる。
「ほんとは……」
期待する綾乃に、私は言った。
とても悲しいことを。
「ほんとはいけないんでしょ、そんなことしちゃ」
綺麗に整えられた眉がみるみる下がって、ほのかにピンク色をしていた頬は白くなっていく。
私に折れる気がないのだと伝わったのだろう。
「プロになんだから、ちゃんとしなくちゃ……」