流れてきたのは、私の知っている『Sir.juke』の音ではなかった。


ライブハウスで経験した、体中がしびれる、あの熱が感じられない。


ただ以前と変わらないのは、圧倒的だということ。


冷えた音色は、まるで繊細に磨かれたダイヤモンドのよう。


劣悪なプレーヤーに細部の音を削られているのだろうけれど、まぶしいくらいに輝いている。




これが、プロなんだ。


少しの寂しさを感じさせた前奏が、そして、圭吾さんの歌を連れてきた。