「今日はもう、観測は無理ですね」
「そう、ですね」
「この雨は明日になると雪になるそうですよ」
「そうですか」
「あいにく、しばらくは天気の悪い日が続きそうです」
おじさまが本当にしたいのは、天気の話なんかじゃない。
分かっているけれど、遠回しな優しさを素直にくみ取れるほど今の私に余裕はなかった。
知らない振りをしていたら、おじさまは、ふっとため息をもらして。
「なぜ、そこまで頑張ろうとするんですか?」
私は返事をしなかった。
「沙妃さんは、ここへいらしてから本当によく頑張っていると思います。
他の研究室の方々も驚いているほどです。
でも、こんな生活を続けていては体が持ちませんよ。
一生懸命に打ちこむのは良いことですが、無理をされることは、沙妃さんをここへ招いた僕の本意ではありません。
そして、これは僕の勝手な憶測で、とても失礼な意見かもしれませんが……
沙妃さん、あなたは星ではない、別の何かを求めているのではありませんか?」
もう、ごまかせそうにない。