当時と比べれば、今は少し食べられるようになったと思う。
けれど、満腹になることはない。
大好きだったパパとは、顔も合わせられなくなってしまった。
話せないその姿を目の当たりにすると、責められているような気がして、罪悪感につぶされそうになるから。
そして、いつも愛情に満ちていた瞳に、憎悪の色を見つけてしまうかもしれないと思うと、恐くて仕方ないから。
「少しだけ気をつけていればいいんだ。
大丈夫、もう二度とあんなことは起こらねえよ」
大丈夫、大丈夫、と川崎先生は繰り返す。
私は、自分でも情けない顔をしていると自覚しつつ、川崎先生を見上げた。
「しっかり食わねえと、慎一や未耶子ちゃんが心配すんだぞ」
慎一と未耶子。
それは、パパとママの名前。
「もっと食え。そして笑え。
閉じこもってないで、外に出ろ。
お前が元気でいることが、二人の一番の願いなんだからな」
川崎先生は、私の頭をぐしゃぐしゃなでた。
あたたかくて、大きな手。
私は目のふちにたまっていく涙をこぼさないように唇を噛んだ。