そのとき、一筋の光が闇を駆けた。


それを追うように、二本、三本……こぼれるように空を伝い、まばたきするよりもはかなく消えていく。




流れ星だ。




ありきたりな言い伝えを思い出す。


「……願い、ごと……」


とたんに、あふれてくる無数の夢物語。




私には、叶えてほしい願いが多すぎた。


こんなんじゃ、流れ星も呆れてしまうだろう。


愚かな自分がおかしくて、笑ってしまう。


あまりに笑えてくるから、涙まで出てきた。




きっと、私の望みは何一つ叶わない。


叶えてもらえる資格がないから。


それなら、せめて。




「どうか私の分まで、あの人を幸せにしてください」





また耳元で心音がうるさく鳴り始めた。


視界が白に包まれていく。


息ができなくて苦しい。


でも本当は何が一番苦しいのだろう。




諦めるということは、世界で一番、難しい。