気がつけば、誰の声を口にしても、体が受けつけなくなっていた。


お腹は空くし、飲みこむこともできるのに。


食べているのは格好だけで、栄養にならない。


代わりに、消化できなかった気持ちだけが日々募り、胸を締めつける。




どうしても思い出してしまう。


いや、思い出す暇さえないほどに、私は想い続けている。


もう二度と出会えないのだろう、恋しい恋しい面影を。




『二人で本物の星を見に行こう』




よみがえる約束。


いくら振り払ってもぬぐえない。


いつしか彼は、私を生かす一番の理由になっていた。


一緒に過ごした時間は、星に憧れ続けた日々と比べたらほんのひとかけらのはずなのに。


星への想いが小さくなったわけじゃない。




あまりにも、彼が、まぶしすぎたから。




「圭吾さん」




この綺麗な星空を、彼にも見せたい。


一緒に、見たかった。