耳慣れない駅名のアナウンスが聞こえて、我に返った。
路線表を見ると、私は随分と乗りすごしてしまったらしい。
慌てて駆け足で下車したら、思いの外に息が切れた。
この動悸は、慌てたせいじゃない。
思い返せば、ここ数週間で疲れやすくなっていた気がする。
体が弱るって、どういうことなんだろう。
弱って、弱って、その先はどうなるのだろう。
時間がない。
どこまでも悠然と横たわっていた未来が、突然、把握できる大きさに縮んで手の平に落ちてきた。
この小さな未来に、私のこれからを、希望を、全部つめこまなくちゃいけない。
振り向いては駄目。
休んでいる暇なんてないんだ。
やっと、目が覚めた気がする。
私は、冴えた焦燥をたずさえて、北風の吹き抜けるホームを歩き出した。