パパは川崎先生と同期で、二人は人間の細胞について難しい研究をしていた。 順調に行けば、どんどん偉くなって、富も名声も手に入れることができるはずだった。 でも話せなくなったパパは、その優秀さから失職は免れたものの、出世の道は断たれてしまった。 声を失うとは、そういうこと。 私は、パパの人生を変えてしまった。…… 私が欲張りさえ、しなければ。…… この体はどんどん痩せて、臆病だった性格には拍車がかかった。