慌てていると、ママが誇らしげに宣言した。




「だって、沙妃ちゃんは恋してるんですもの!」




恋。


この単語に、私は動揺した。


そうだ、ママは何も知らないのだ。


ね?と小首をかしげて同意を迫られても、うまく返す言葉が見つからない。




そのぎこちない様子が、図星をつかれて照れているのだと解釈されたらしい。


「そうか、恋ですか。

そういえば、もう沙妃さんは大学生なんですよね」


「一番楽しい時期だわねえ」


おじさまとおばさまは、嬉しそうにうなずいている。


この、温かい空気が、痛い。


隣を見やれば、ママは今にも圭吾さんのことを話し出しそうな雰囲気。




いたたまれない。




「……そんなことより、おじさま!」




みんなの目が、ぱちくりと見開かれる。


自分でも驚くほど大きな声が出た。




たったこれだけのことで、ここまで取り乱してしまうなんて。


落ち着きたいけれど、ここで急に穏やかになるのも不自然だと思い、私はそのままの勢いでまくし立てた。


用意してきた星に関する疑問や、海外でのお土産話の催促を。