閉店後の作業を終えて、ようやくタイムカードを押す。
「お疲れ様でした」
スタッフの人達と挨拶を交わして、店を後にした。
今日覚えたいろんなことを、電車の中でおさらいしていく。
ふと気づいて見渡せば、スーツを着た人、制服の人……私服でも、仕事帰りみたいで疲れ切ってつり革にぶら下がっている人……
これまでこんなふうに電車の中を見回しても、何とも思わなかったのに。
みんな頑張って働いて、生きてるんだなって感じた。
圭吾さんは、今、どうしてるんだろう。
無意識に浮かんだ笑顔を、振り払うように窓の外を見た。
今日は、よく晴れてる。
部屋から望遠鏡をのぞけば、きっといつもよりたくさんの星が見られそうだ。
でも、もっともっと見たい。
空気の澄んだ場所からでも、どんなに立派な天体望遠鏡を使っても見えない星が、きっと宇宙には数え切れないほどある。
それを、私は見てみたい。
私だけの星を、見つけたい。
それが、今の私の目標だった。