小さい頃から、ずっと言いたいことがあった。


それは、口に出すことの許されない言葉。


いつか、自分を責めてこっそり泣いているママを見てしまったとき、私はそれを封印した。


誰を恨んでも仕方ないし、恨むつもりもない。


この体質は、誰のせいでもないのだから。




分かっている。


分かっているの。




でも、今、私はあまりにつらすぎた。


吐き出さなければ、粉々になってしまいそうだった。




「……どうして、どうしてこんな体に生まれたの……?」




普通の体に生まれたかった。


今以上に、強く願ったことはない。




でも、普通の体に生まれていたら今の自分がなかったことも知っている。


圭吾さんと出会えることも、なかったかもしれない。


こんなにつらくても、出会わなければよかった、なんて微塵も思えない。


圭吾さんと出会ってからの日々が、私を変えてくれた。


その日々を誇りに思う心が、内にこもろうとする弱さを許さない。




自分勝手な方法だったけれど、私は圭吾さんのために、そして自分のために、この道を選んだ。


もう立ち止まることは、できない。




歩き出す。


歩き出すから、だから。




この涙が止まるまで。


もう少しだけ、このまま……