避けられなかった。


触れた唇からそそがれる想いは、甘く甘く、体中に広がっていく。




こんなにも愛されている。


その幸せに、鼓動すら止まってしまいそう。


あふれる想いに身をゆだねて、このまま一つになってしまえたら、どんなにいいだろう。




でも、彼を殺すことはできない。


知らぬ間に視界を歪ませていた涙を飲んで、両手で圭吾さんの胸を押した。




「ありがとうございます。

でも、私は圭吾さんの気持ちに答えられません」




強くならなくちゃいけない。


私はしっかりと視線を合わせた。




「私の『好き』と、圭吾さんの『好き』は違うって、気づいたんです。

だから、もう一緒にいられない」




自分で言ったことなのに、心の砕ける音がした。


それでも、圭吾さんのために笑ってみせる。




彼は、悲しいだけの瞳で私を見ていた。