たくさんの人が門の中へ流れていく。 みんなスーツを着て大人の振りをしているけれど、その笑顔は子供そのもの。 きっと、道の両脇で薄桃色に膨らんでいる桜に心躍らされているせい。 こげ茶色のレンガでできた講堂を背景に咲き誇る桜並木の風景は、きっとこの大学の自慢。 でも私は、桜が嫌い。 正しくは、四月が、嫌い。