「俺の歌を聴いてるとき、自分がどんな顔してるか知ってる?
すっげえ幸せそうにしてるんだ。
それがあったから、俺は沙妃ちゃんに近づきたいと、近づけると思った」
聞きたくない。
耳をふさごうとしたら、つかまれていた手首が強引に引っぱられて、この体は圭吾さんの腕の中に閉じこめられてしまった。
シャツ越しに伝わる体温が熱い。
「沙妃ちゃんにあんな顔させられるのは、俺だけだって自信がある」
顎を持ち上げられて、至近距離で目が合う。
鼓動に、呼吸に、予感が宿る。
お願い。
言わないで。
言わないで。……
「好きだ」