目を逸らしちゃいけない。




「圭吾さんと会ってから、毎日とても楽しかったです。

仲良くなれて、よかったと思ってます。

でも……」




この胸の痛みを悟られちゃいけない。


できるだけ傷つけないように。


うまくやらなくちゃ。




「今まで、ありがとうございました」




精一杯の作り笑いを顔に貼りつけて言うと。




「……いろいろ秘密にしてたこと、やっぱり気にしてる?

それとも、この前のライブで幻滅した?」




圭吾さんが、ゆっくりと口を開いた。


色のない瞳が、私を揺るがす。




「いえ、違うんです……。

それは気にしてません。

ただ、もう私は圭吾さんと会わないほうがいいと思って……

本当は、こんなことを告げにくることすら必要のない関係かもしれないけど……」




「意味分かんねえよ」




聞いたことのない強い声にさえぎられて、背筋が凍った。