時間は流れていく。
でもなかなか日常を取り戻せないのは、圭吾さんのことが、自分のことが、整理できていないから。
あれから何度か圭吾さんからメールがきた。
私はそれに、やはり返信できないでいる。
答えが出せないのだ。
これから、どうやって圭吾さんと接していけばいいのか。
良い方法は一つも思い浮かばなくて、彼を思えば罪悪感にさいなまれてしまう。
圭吾さんは、綾乃への突然すぎた解雇通告のことを気に病んでいるはず。
デビューのこと、きっと簡単には人にもらせないいろんなことに対しても、私に理解してほしいと思ってるんだろう。
でも、そんな心配はいらないんだ。
私は圭吾さんが音楽のために行動するすべてを応援してる。
何があっても、受け入れる覚悟がある。
綾乃の件だって、始めはショックだったけれど、綾乃自身が片づけてしまったことだし、もう気にしてない。
圭吾さんは何を気にする必要もない。
全部伝えたい。
そしてメールにまでにじんでいる焦りをしずめてほしい。
だけど、私に彼と接する権利があるのだろうか。……