手を上げようとした瞬間、周囲の景色が一変した。




気がつけば、私は小・中・高校時代のクラスメート達に囲まれている。


「どうして給食を食べないの?」


「何も食べないの?」


「じゃあ、どうやって生きてるの?」




言わなくちゃ。


『私は物を食べられない病気で、お家でのお注射がご飯なの』


そう答えるように言い聞かされてる。


言わなくちゃ、言わなくちゃ。




でも、私は凍りついて動けない。


言葉が出てこない。




向けられている奇怪の目は、徐々に排除へと色を変えた。


「化け物!お前は化け物だ!」


「人を不幸にする化け物め!」




やめて。


やめて。


誰か助けて。


ママ……綾乃……必死に探すけれど、どこにもいない。


「化け物!化け物!」


大勢の声は止まない。




違う、私は、私は……!