「圭吾くんとは、どんな感じ?」




ある日、ママが尋ねてきた。




……パパのいる前で。




どうしようかなって、ちょっと戸惑って。


「うん」


とだけ、言ってみた。




でも、嘘はつけない。


大きすぎる気持ちは、とても隠しきれなくて。


私は、この頬がゆるむのを止められなかった。




会話は成り立ってない。


だけど、それで充分だったみたい。


「そう」


優しく、穏やかに、ママは笑った。


「よかったわ。ねえ、パパ?」


同意を求められたパパは、この前みたいに怒ったりせずに。


新聞に目を落とし、コーヒーを飲みながら、一つうなずいた。




久しぶりの、家族みんなの笑顔。


すべてを愛しく感じられる、幸せな時間。




私は、こんな時間がずっと続いていくことを願っていた。


ずっと、ずっと、続いていくことを。……