「今回は、忙しい中ライブに参加してくれてありがとうな」


急いで支度をして階段を下りると、トワさんがすでに準備万端の男性陣へ礼を述べているところだった。


「みんな、おはよー!」


遅れたことを悪びれる様子もなく、綾乃は元気に挨拶する。


私は、その後ろからそっと顔を出して、圭吾さんを見た。


すると、彼も私のことを見てくれていたみたいで、すぐに目が合う。




どんな顔すればいいのかな。……




迷っていると、圭吾さんが小さく笑った。


そっか、笑えばいいんだ。


でも昨日の今日だから、ちょっと照れてしまう。


私は熱くなっていく頬に負け、かろうじて微笑んだけれど、目は逸らしてしまった。




「綾乃、朝飯食ってないから腹減っただろう。

コレ、調理場のヤツに作らせたから、車の中で食え」


トワさんは、綾乃に使い捨ての容器に入ったサンドイッチを渡した。


「わあ、おいしそう!

こんなに良くしてもらえるなんて幸せ!

トワさん、ほんとにありがとう!」


「いいってことよ。それから……」


綾乃を通りすぎ、トワさんは私の前へ。


「沙妃ちゃんには、コレ」