目を覚ますと、もう太陽は空の真上だった。
隣のベッドでは綾乃がぐっすりと寝ている。
昨日の夜は日付が変わっても遊び続けていたから、さすがに疲れたのだろう。
音を立てないようにベッドから降りると、私は洗面所へ向かった。
顔を洗って、鏡に映る自分の顔を眺めてみる。
滅多にしない夜更かしをしたはずなのに、なんだか顔色が良すぎない?
最高の音楽を体験できたおかげ?
彼の声を、存分に食べられたから?
それとも……
そっと手を伸ばして、鏡に映る自分の唇をなでる。
昨日、私は、彼と……
よみがえってくる情景に、感覚に、体中が熱くなった。
時間が過ぎるのが、あんなに惜しいと思ったことはない。
できることなら、もう一度を願ってしまう。