どうしよう。
想いが止まらない。
私、もっと圭吾さんに近づきたい。
少しだけ、ほんの少しだけ、体を寄せてみる。
すると、計らずも肩がぶつかってしまって、圭吾さんと目が合った。
何か言わなきゃ。
でも、何て言うの?
近づきたいって、言うの?
想像したとたんに、急に恥ずかしさに襲われた。
頬が熱くなっていくのが分かる。
私はうつむいて、髪の毛のカーテンで顔を隠した。
会話が途絶え、降りてくる沈黙。
気づけば、花火の鳴る音も消えていた。
「沙妃ー!圭吾くーん!
打ち上げ花火始めるよー!
二人もこっちにきて一緒に見ようよー!」
綾乃が遠くから誘ってる。
「どうしますか?」の目をして圭吾さんを見ると、少し迷って「行かない」の表情。
私は綾乃に向かって首を横に振って見せた。
「つまんないのー!」
綾乃は一瞬ふてくされて、またすぐにみんなとはしゃぎ出した。