「綾乃……」


と、『Sir.juke』のメンバー。


みんな笑顔だったのに、私に気づいたとたん、足を止めてきょとん、となった。


綾乃もショウさんも雄樹さんもヤマトさんも、それから、圭吾さんも。




「え、ちょっと、沙妃……」


綾乃は、両手で口を覆ったと思ったら……




めいっぱい、吹き出した。




「何やってんの!?まさか、働いてるの!?

信じられない!」


「そんなに笑わなくても……」


「だって、あの沙妃が、嘘でしょう!?」




「嘘じゃないさ、沙妃ちゃんはしっかり働いてくれてるよ」


トワさんが気を遣ってかばってくれても、綾乃は全然笑い止まない。


「クソッ、こうなったら俺達のコンビネーションを見せつけてやろうじゃないか!

綾乃、蜜は何だ!」


途切れとぎれに「メロン」とのオーダー。


ムキになったトワさんからひときわ山盛りの氷を受け取ると、私は一生懸命蜜をかけてスプーンを挿し、それを差し出した。


それなのに。


「やだ、手際よすぎだし!」


綾乃はかき氷を受け取りもせずに、ますますお腹をよじって笑いこける始末。


「綾乃、お前笑いすぎだぞ!」


「きゃーっ!」


トワさんは売り場から飛び出して綾乃を追っかけ出した。