汗がしたたる。……
目がぐるぐる回ってる。……
あれから昼のピークを経て、客足はようやくまばらになった。
「いやー、こんなにテキパキしてもらえるとは思ってなかったよ。
できる子だね、沙妃ちゃんは」
トワさんは、まるで何事もなかったかのように元気で、大声で客引きまでしてるけど。
テキパキ、じゃなくて、ただ慌ててただけ。
注文と違う蜜をかけたり、失敗も多くて、とてもできる子の働きじゃなかった。
うまく笑えなくてほっぺたは引きつってるし。
あまりの目まぐるしさに、息も上がって。
もう、へとへと。……
うなだれているところに、お客さんがこっちへ向かってきている気配。
しかも、なんだか人数が多い。
他のお店にもかき氷は売ってるのに、どうしてみんなここに買いにくるんだろう。
いやだ、こないでほしい。……
「トワさーん、こんにちはー!
今着きましたー!」
あれ?
この声は。……