接客の合間をぬって、彼女達は手を動かしながら器用に会話する。


「お隣の子は?」


「ヘルプの沙妃ちゃんだよ。

ここは俺達がやるから、君達は中を手伝ってもらえる?」


「はい!

あ、その前に……」


かき氷を作っていた彼女が、トワさんと交代するなり、私の後ろに回ってきた。


不思議に思って振り向こうとすると。


「そのまま動かないで!」


そして思い切り髪を引っ張られた。


「え?え?」


「……はい、できた!」


解放されて慌てて頭に手をやると、ポニーテールができてる。


「長くて綺麗な髪だけど、お仕事には邪魔でしょ?

じゃあ、頑張ってね!」


二人は軽やかに店の中へ駆けて行った。




状況は目まぐるしく変化していく。




「よし、じゃあ沙妃ちゃんには蜜をかけてもらうから」


「ええっ?」


「一回だけ手本を見せるからね」


トワさんは、いつの間にか用意していた山盛りの氷に蜜をかけた。


早すぎて、どのくらいかけたのか分からない。


でもすぐに注文は入って、トワさんは魔法みたいにあっという間にカップに氷を盛っていく。


「これはブルーハワイ、これはメロン」


「あの、どうすれば……」


「いいから言われた通りの蜜をかける!」


「え、でも……」


「余計なこと考えずに、ささっとやる!

そして笑え!」




そんな無茶な!


私は心の中で悲鳴を上げた。