と、そこへ。
「ああ、オーナー!」
黒いエプロンの男性スタッフが一人、トワさんに泣きついてきた。
「見てください!
とても僕らだけじゃ、さばきこなせません……」
彼が訴えているように、店内にはあふれ返る人、人、人。
私は案の定、めまいに襲われた。
でもトワさんは、何てことないって顔で言い放つ。
「なんだ、このくらいで弱音を吐くな。
食堂だけのウチと違って、よその店はシャワーや遊具の貸し出しまでやってて、もっと大変なんだぞ。
あとでたっぷり金もらえるんだから、ぶっ倒れるまで働け!」
そして、スタッフの背中を手のひらで一撃。
「すいませーん、注文いいですかー?」
「は、はい!ただ今!」
気合いを入れられた彼は、顔を引き締めてお客さんのもとへ飛んで行った。
これが、仕事、っていうものなんだ。
でも感心してる場合じゃない。
トワさんが向かったのは、軒先に設けられているかき氷売り場。
そこでは私より少し年上らしい二人の女性スタッフが、引っ切り無しにやってくるお客さんの対応に追われていた。
「お疲れ様です、オーナー!」
「二人とも、ご苦労さん」