公園を通り抜けた先の、物静かな住宅街を歩くこと十分ほど。
私は自宅へとたどり着いた。
「沙妃ちゃん、おかえりなさい!」
ドアを開けるなり、元気な声が私を迎えてくれる。
一緒に歩いていたら姉妹と間違われるくらい、若々しくて可愛い私のママ。
「今日も、ちゃんと食べた?」
ママは、私の食事を管理できない。
だから毎日行われるこの確認作業は、ママのできる精一杯の親心なのだ。
「うん、大丈夫だよ」
そして私は、毎日こうして嘘をついている。
本当は、もう何年もお腹いっぱいになったことなんてない。
空腹にも、慣れたくらい。
でもママを心配させることは、したくないんだ。