「あの……」


両手で熱心に大きな胸を形作っている川崎先生に、私はおずおずと尋ねた。


「体力もついたみたいだし、少しくらい遠出しても、具合悪くなったりしないですよね?」


すると先生は、いかにもくだらん、というふうに鼻で笑った。


「そんなものは気の持ちようで体力は関係ない!」


「そ、そうですか……」




「しかし、慎一は当分休み無しだろう。

一家の主を差し置いて、未耶子ちゃんと二人で旅行か?

女ってのは、薄情な生き物だなあ」


おどけて嫌味を言う先生に、私はいたずらを仕掛けるような気分で明かした。


「いえ、友達と海の家に行くんです」




「海!?

今、海って言ったか!?」


案の定、先生は驚いてまた大声を上げた。




「どうした、恋でもしたか!」




私は、肩をすくめて微笑んでみせた。