「俺の……」
圭吾さんは、伏目がちに、ゆっくりと口を開いた。
「俺の歌、どう思う?」
「……圭吾さんの歌、ですか?」
突拍子もないことだったから、思わず質問で返してしまった。
圭吾さんは、黙ったままうなずくだけ。
その眉間のしわが事の深刻さを物語っていて、私はできるだけ早く答えを探さねばならなかった。
いや、探すまでもない。
私は、圭吾さんの歌が好き。
声も、歌い方も、雰囲気も、そのすべてが好き。
でも面と向かって「好き」だなんて、言えない。
私は精一杯「好き」に代わる言葉を選んだ。
「素敵、だと思います」
……これじゃ全然足りない。