今日も、食事のために『聖地』へ足を運ぶ。


休みに入ってから、ここに集まる人の数も増えた。


毎日新しい顔を見つけては、新しい声をいただいている。


飽きはしないけれど、お腹も心も満たされない。




求めているのは、量でも、新鮮さでもないんだ。




噴水池の脇のベンチから、スタジオを眺める。


そして願うことが日課になってしまった。




そこから顔を出して。


私を見つけて。




今、そこにいるかどうかも分からないのに。


私は願いをかける。




でも、それは今日も叶わずに、肩を落として歩く家路には、あの日の記憶がよみがえる。




『髪の長い女の子を見かけることがあって』……


『その子を見た日は、いつもよりうまく歌えるような、気がして』……




ねえ、圭吾さん。




今日は、うまく、歌えてますか?