どうしようもなく、寂しい。
「いいな、綾乃は……」
「え?どうして?」
「圭吾さんと、同じステージに立ててる」
その、きょとんとした顔。
綾乃は分かってない。
自分が特別だってこと。
でも、とたんに綾乃は笑い出した。
「何言ってんの、沙妃。
好きすぎてステージにまで上がりたくなっちゃった?」
「違うよ!
なんだか、こう……バンドのみんなは、すごく輝いてるから。
違う世界で生きてる感じがして、私なんかが、関わっちゃいけないような気がして……
私も綾乃みたいだったら……」
うまく言葉にできない。
頭の中がごちゃごちゃで、胸が痛い。
「……なるほどね」
そこに降ってきた綾乃の声は、やけに訳知り顔だった。