ニコニコ笑顔の春斗は当たり前のようにお鍋を2つ持ってきて、ルーまで甘口と辛口の2つを持ってきた。

…癖なのかなぁ…


「…春斗、甘口は作らないんでしょ?」

そう言うと春斗はハッとしたようにあたしを見て、落ち込んだように「すいません」と言う。


「俺、甘口食うけど。」

「え?」

リビングで話してた蒼空くんがいつのまにかキッチンに顔を覗かせてそう言った。


「え、でも蒼空いつも…」

「うるせぇ春斗。今日は甘口の気分。」

蒼空くんはそれだけ言うと、リビングへと戻っていった。

…それを言うためにキッチンに来たの?


キョトンとしていた春斗も、何だか納得したように「まぁ、いいか」なんて言って戻しかけた鍋を再び置いた。


「美波さん、作りましょうか。」

「…うん。」

蒼空くんの優しさか。