「カレー、か…」


出逢った次の日にもこうやって春斗と2人でカレー作ったんだよね。

甘口と辛口、わざわざ違う鍋で作ったっけ。

……甘口しか食べられない彼がいたから、そんな手の込んだことしたんだよね。


「カレー嫌ですか?」

「…ううん、大丈夫。」


春斗も葉太もニンジンが食べれなくて、代わりにあたしが食べてあげて。

2人が騒いでるのに、彼は隣でマイペースに甘口のカレーを食べていた。

痩せてるくせに、3杯も。


「俺、何すればいいですか?」

「じゃあ、野菜の皮剥いてて。」


あのときの光景を思い出せば思い出すほど、ここにいることが苦痛になっていく。

当たり前みたいにここにいたのに。

まるで夢だったかのよう。


「久しぶりですね。」

「え?」

「こうやって美波さんと昼飯作るの、久しぶりじゃないですか。」

「あぁ、そうだね。」