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「美波さん、こんにちは!」

半ば強引に安田さんの家まで連れてこられ、入って一番最初に出迎えてくれたのは笑顔の春斗だった。


「蒼空、葉太さんが早く来いって怒ってたぞ。」

「んー、分かった。」

蒼空くんは軽く返事をして家に入っていく。


自分の家に帰っても何も変わらないっていうのは事実なんだけど、ここに来るのは少し憂鬱だった。


「美波さん、一緒に昼飯作りません?」

「いいけど、春斗はあっちの話に入らなくていいの?あたし1人でも作れるよ?」

「俺よりもあの2人の方が希龍さんのこと分かってますし、美波1人じゃ寂しいでしょ?」


1人で作るのは確かに寂しい。だから正直、春斗が一緒に作ってくれるのは嬉しい。

なんで見透かしちゃうんだろうなぁ。


「俺も美波さんがいた方が楽しいです。」

相変わらず人懐っこい笑顔で、あたしの手を優しく握ってキッチンへと歩く。


「何作るの?」

「安田さんがカレーのルー買ってくれてるんで、カレー作ろうかなって。」

…何で寄りによってカレーなんだろう。