「わっ⁉」


いきなりのことに、足元をふらつかせた私は気づいたら龍夜の腕の中にいた。


「っぶね。」


なんて、小さく呟く龍夜の息が首にかかって、心臓がバクバクと音を立てる。
やば…恥ずすぎる…っ。


「り…龍夜…は…離して…っ。」


とりあえずこの状態から抜け出さないとって思い、離してと言ってみる。


「はぁ?普通は、助けてくれてありがとうだろ?」
「うっ…。」


確かにそうなんだけど…。
この状況に、私はドキドキしすぎてやばいんだって!
このままだと、多分心臓破裂する…。


「おい、龍夜。全校生徒に見られてるぞ?」


そんな私に気づいたのか、助け舟を出してくれた和樹には、確かに感謝する。
だけど…。


「え、マジで?やべぇ。」


さっと腕の力が緩んだ瞬間、私は龍夜から離れた。


「あ…りがとっ…」


ふいっと顔をそらしたまま小さくお礼を言った。


「…おぅ。」


龍夜の顔を見ると頬がほんのり赤くなっているのが分かって余計に恥ずかしくなった。


「はいはい。そこのラブラブな幼馴染さんたち。学校始まるからねー。」


からかい半分で言う和樹に若干の殺意を覚えながら、睨んだ。