「てか、時間やばいよね?」


長い沈黙を破ったのは私。
携帯を開いて時間を確認しながら、そういった。


「え、マジで?」
「うん、やばっ‼」
「いくぞっ‼」
「えっ⁉ちょっ、まっ…きゃぁあっ‼」


龍夜は、私の手を掴み、全速力で走る。
運動神経がいい龍夜についていけるはずもなく…


「はぁ…はぁ…。」
「わりっ。」


…絶対に悪いって思ってないじゃん。
学校には、とりあえず遅刻せずについたけど、私の息はとても上がっている。
そしてムカつくことに、息一つ乱れていない龍夜。
呆れながらも、かっこいいなぁなんて思う私は相当龍夜が好きなんだと思う。
…くやしいな。


「翼ぁっおっはよぉっ‼」
「翼ちゃん、おはよう。龍夜もおはよっ。」


遠くから私たちの名前を呼ぶ咲と和樹が見える。


「おはよーっ‼二人ともっ‼」


大きな声で挨拶を返しながら、二人に向かって手を振った。
にこにこしながら走ってきた咲が、私に抱きつく。