「つ…翼ちゃんっ。あのっ!」


出た瞬間、同じ学校の制服を着た男子に声をかけられた。
なんで、この人私の家を知ってるのさ。


「なに?」
「好きですっ‼付き合ってくだ…」
「ごめん。私、好きな人いるから。」


最後まで言い切らないうちに断る。


「そ…か…。ごめん…。こんなこと、言って。」
「でも、気持ちはありがとね。」
「っ…。はいっ!」


たっと走り去る名前も知らない男の子を見ていた。


「モテモテですね、翼サンは。」
「わっ⁉」


なんで、私ん家の前に座りこんでんの?
てか、いるの気づかなかったし。


「…。」


うん、さっきのは私が悪かったんだし。


「ごめん、さっきは。朝だから、ちょっとイラついてたわ。」


好きだからなんて気持ちを隠したまま。
ばれないように当たり障りのない理由をでっち上げる。


「いや…。俺も、年頃の女子にするようなことじゃなかったし…ごめん。」
「幼馴染だしねっ。別に気にしてないよ。」


俯いている龍夜に軽く返した。
本当の本当は…。
私の気持ちに気づけって思ってる。
幼馴染なんて、やだって思ってる。
だけど…。
私の気持ちに気づいたら、この幼馴染っていう関係が壊れて、今まで通りにいかないから…気付くなって…幼馴染でいいって思う。