「絶対あの賭け…のらないと思ってたのに…。」


せめて何もかも裏で回ってる話だったのなら、私は何も考えることもなく、悩むこともなく、馬鹿みたいに笑ってられたのに。


「キス…一回で500円かぁ…。」


恋人繋ぎに龍夜に抱き締められる。
あたしにとって、嫌なことではない。
不利益ではなく、利益。
でも…


「偽物の…偽りの…恋人…。」


偽物なんかじゃなく、本当の意味であなたが私を思ってくれることはないのかな…?
かかってる布団をぎゅっと握りしめながら、うずくまるように体育座りをする。
本当の恋人がすることを、お金のために好きでもない人とするなんて、本当はね、私…偏見を持ってたのに…。
愛してもらえる人にしてもらえばいいって…ずっとずっと思ってたから。
だけど、今…。
私自身が、この立場に立つと、嘘でも君に恋人扱いをされたいって思うんだ。
そう思うことが悪いかどうかなんて分からないけど…。


「正しくないとも…思えないよっ…。」


好きだから。
全てはその真っ直ぐな気持ちが生み出す理想。
そんなのわかってるけど…。


「龍夜に…愛されたいよ…。」


そう思うことは…悪いことなの…?