「なんでだよ?面倒くさい。」
「そう言わずにさぁっ、龍夜は幼馴染なんだからさっ?」


幼馴染だから…の理由が分からない。
俺は幼馴染だから嫌なんだ。
せめて、幼馴染じゃなければ出来るんだけど、まぁ理由によるけどな。
だから、理由を聞くことにした。
俺が何故、翼を…騙さなくちゃいけないのか。
翼をしっかり背負いなおして言った。


「なんでそんなこと思いついたわけ?」
「だって、翼ちゃんってさ、超モテるのに、全部告白断るじゃん?だから、付き合ったらどんな反応するのか知りたいから?」
「…興味ってことかよ?」


興味で翼を巻き込むなんて嫌だ。
俺は…。


「付き合えたら、1000円。恋人つなぎで手を繋いだら1500。キスは、した回数だけ500円。」


巻き込むなんて嫌だとか思っていた、俺は…


「のった!」


金を取った。
のらないわけがない。
お金には勝てない。
たとえ、大切な幼馴染でも。
んじゃよろしくな、といい隆弥は電話を切った。
耳元に無機質な機械音が鳴る。
だけど、そんなの気にならなくて。


「恋愛的な意味なんだったら…」


さっきの"好き"が願うならば幼馴染としてならいいのに…。
そうじゃないなら、俺は翼を傷つけることになる。
でも、恋愛的な意味でなくても、俺のしようとしてることは、翼が悲しむこと。
分かってても…分かってても、俺は…。


「俺はっ…お金を選んじゃう最低な人間なんだよっ…翼…」


だから、お願い。
どうか俺のことを幼馴染として好きだといって…。
恋愛的に好きだなんて…言わないで。
俺は、翼を傷つけてしまうから…。
そんなことに頭がいっぱいで俺の隆弥との電話でのやり取りを翼に聞かれてたかもしれないなんてこれっぽっちも思ってなかったんだ。