さすがに…少し疲れた…。
教室にしっかり入り、自分の席につき、だるい先生の話を聞くだけ…そんなのに耐えられる訳がない。
第一あたし今熱あるんだよ?
あ、これ龍夜とか気付いてないけど。
始業式の日から休むなんて嫌に決まってるし。


「これから、このクラスで最後の中学校生活を楽しんで。」
「はいっっ!」


一斉に揃った返事に頭が痛い。
澤野だからって分かるからこそイラつきレベルも高い。
あたし…本気で澤野が嫌いなんだな…。
担任が嫌いとか笑えるわ。
初めて話したのに、生理的に受け付けないっていうね。


気付けば放課後になっていた。

「翼っ!帰ろっ!」


愛しの愛しの咲の声に元気よく返事をする。



「はぁいっ!早く帰ろっ!」
「あ…あのさっっ、翼ちゃんっっ!」
「?なんですか?」


咲と帰ろうと思ってたのに…なんて思いながら呼ばれたほうを向いた。
そこにいたのはクラスメートのショートの黒髪が似合う背の小さな大人しそうな可愛い女の子。
その頬は赤く染まっている。
誰だっけ?


「えと…?」
「あのっ、えとっ、前から翼ちゃんのことみててっ、お友達になりたかったの…。いきなりごめんねっっ。うざいよね、ごめんなさい。」


ショボーンとしながら、マシンガンのように発される言葉に驚きはしたけど、頑張って話をしてるのが分かって可愛いなって思った。
ようは、この子は私と友達になりたいってことだよね。


「翼でいいよっ!これから、よろしくね。えーっと…。」


名札を読み、分かった名前をつげる。


「斎藤…花恋【さいとうかれん】ちゃんっ!」