「…むかつく。」


ぼそっと言ったはずなのに何故だか龍夜には聞こえてたらしくて


「はぁ?」


若干きれられた。
カッコいい顔が台無しだよ〜龍夜君。
ムカつくけど。
ムカつくけどね。
かっこいい顔なのは前からだし、怒っても変わらないよね、うん。


「なんでもないわよ。」

いつものようにしてればいい。
今日はおかしいんだ。
私も、龍夜も。
龍夜にドキドキさせられまくってるってだけ。
咲と和樹が羨ましく思うことも何もかも…。
普通に…してればいいんだから。


ガラッという音と共に龍夜の間延びした声が前から聞こえた。


「どーも。龍夜です。遅刻してすんません。」
「お。やっときたか。」
「はい。きました。」
「塚田は?」
「翼なら、あそこに。」


いきなり龍夜は私のほうを指差した。
人を指差すな、阿呆。


「おー。塚田、具合はどうだ?」


ひょこっと教室から顔を出す担任、澤野彰【さわのあきら】。
20代前半の爽やか系なイケメン教師。
こいつが担任だと、クラスはいつも騒がしい。
休み時間はファンの女の子達が一目みようとやってくるし、授業中はクラスの方々がガン見をするし。
担任にもっともしたくなかったタイプ。


「塚田?」
「あっ、はい?なんですか?」


やばいやばい。
若干スルーしてたし。


「具合はどうだ?」
「絶好調ですよ。」
「そうか。じゃ、教室入れ。」
「はーい。」