『翼ぁっ‼』
『何ぃ?龍夜ぁ?』
『一緒に行こうぜっ‼』
『どこに?』
『いいから、早くしろって‼』


そう言ってぐいっと手を引かれた瞬間ピピッという音で目が覚めた。
目を開けると見慣れた天井が目に入った。


「夢…?」


ぼーっとしながら、私は体を起こした。


「ふわぁあ…。ねむ…。」
「随分といつもよりゆったりな起床で、翼。」
「ぎゃっ⁉」


部屋の扉に寄りかかる龍夜に驚きの声をあげる。


「もっと色気のある叫びをしろよ。」
「うるさいなぁ、龍夜は黙っててよ。」


そう言われるのも、既に慣れてしまっているから、普通に返す。


「てか、今日はなんで部屋まで来たわけ?彼氏でもあるまいし。」


いつもは、玄関またはリビングにいるのに。
さっきから疑問を持っていたことを今更ながら龍夜に質問した。


「なんとなく?」
「なんとなくで、私の部屋に来ないでください。」


はぁ…とため息をついて、呆れながら龍夜に言った。