「仕方ないなぁ…。心配性の変態痴漢馬鹿阿呆龍夜野郎のために熱を計ってやるよ。」
「へいへい。ありがたき幸せっすよ、翼姫様。」


少し茶色がかった前髪をかきあげながら、呆れ顔の龍夜は言った。


「〜っ‼」


なんだ、今の‼
めっちゃ、カッコよかった…んだけど。
頬が赤くなるのが分かる。
あーもう、やばい。
やばいやばいやばいやばいっ。


「赤くなりすぎじゃね?」
「〜っ‼」


また顔を近づけてくる龍夜にどうしても赤くなってしまう。
学年の中でも、かなりかっこいいと評判がある龍夜。
頭こそ悪いけれど、顔良し、運動神経良しなら良い売り物件だ。
幼馴染とは言えど、整ったパーツを近付けられると恥ずかしくもなるわ。
…喧嘩のテンションじゃないときは。


「熱、計れよ?」


体温計を片手に妖艶な笑みを浮かべながら言う龍夜に、フェロモン垂れ流しすぎだっなんて思いながらも


「ん。」


素直に頷いて、体温計を受け取る。
惚れてる弱みってこういうところだよなぁ…。


「良い子。」


ふっと笑いながら頭を撫でてくる龍夜を、真っ赤になりながら睨む。
フェロモン垂れ流しの妖艶な笑みじゃないことが分かってるから余計に恥ずかしくなる。
恥ずかしくて死にそうだよ、馬鹿龍夜。