「近すぎるから、離れて…っ。」


胸を一生懸命押す。
すっと、離れてくれた龍夜から急いで離れるが、


「あっ…」
「っと。」


ふらついて倒れそうになり、また龍夜の腕の中に逆戻り。


「保健室行くか。」


若干力の入った腕の中…頭がグラグラとしていた。


「それに、力も入ってねぇし、絶対熱あるぞ、お前。」
「ん〜…。」


ぼーっとしながら、龍夜の声に反応をする。


「翼…大丈夫…?」
「ん〜…。」


咲の声にもぼーっとしながら返すと、呆れながら龍夜は咲と和樹に言った。


「ちょっとお前ら、先行ってろ。」
「え。翼は?」
「保健室に置いてくる。」
「りょーかい。んじゃ、遅れるって先生に言っとくわ。」
「おー。ごめんな、和樹。」
「いいって。…行くぞ、咲。」
「あ、うん。よろしくね、翼のこと。」
「おー、わかってるよ。」


そんな会話をしてる間に、登校している学生はほとんどいなくなっていることに気付いた。
咲と和樹は、向こうに走っていってしまい、龍夜と二人きりになった。


「よし。翼。…乗れ。」


龍夜は、しゃがみ込んで背中をこちらに向けた。


「ん…?」


えと…。
これはどういう状態でしょうか…?


「おんぶ…してくれるの…?」
「当たり前だろうが。具合悪い奴をほっとけるか、ばーか。」


ほら、早くしろと言った龍夜には悪いとは思うけど、無理。